2026年10月のふるさと納税改正、上限額が大きい人は何を見ればいいか
自治体が使えるお金の割合、地場産品の証明、返礼品の調達価格。2026年10月1日から変わる指定基準と、2027年寄附分からの特例控除の上限を、総務省の資料をもとに整理します。
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2026年10月1日から、ふるさと納税の自治体側のルールが変わります。あわせて、2027年の寄附分からは、住民税の控除にも新しい上限が加わります。
ニュースでは「改悪」という言葉も見かけます。ただ、上限額が大きい人にとって何が変わり、何が変わらないのかを分けて見ると、印象は少し違ってきます。この記事は、総務省の公表資料をもとに整理したものです。
※正確な上限額は、年収や家族構成、ほかの控除によって変わります。各ポータルのシミュレーターや税理士等に確認してください。この記事では個別の節税判断は行いません。
変わらないこと 返礼品は寄附額の3割以下
先に、変わらないことを確認しておきます。返礼品の調達費用を寄附額の3割以下にする基準は、地方税法で決まっていて、今回の見直しでも「変更なし」とされています。
10万円の寄附なら、返礼品は3万円以下。この物差しはそのままです。
変わること1 自治体が使えるお金の割合
これまでは、ポータルサイトへの手数料や送料、返礼品の調達費用などを合わせた「募集費用」を、寄附額の5割以下にするという基準がありました。
2026年10月1日からは、この考え方が裏返しになります。寄附額から募集費用を引いた「寄附金活用可能額」、つまり自治体が実際に使えるお金の割合に、下限が設けられます。最終的な目標は60%以上で、段階的に引き上げられます。
| 指定の年 | 寄附金活用可能額の割合 |
|---|---|
| 令和8年(2026年)指定 | 52.5% |
| 令和9年(2027年)指定 | 55% |
| 令和10年(2028年)指定 | 57.5% |
| 令和11年(2029年)指定以降 | 60% |
あわせて、自治体はそのお金を何に使ったかを公表することになります。
変わること2 地場産品であることの証明
返礼品は、その自治体の区域内で作られたものであることが求められます。今回の見直しでは、この「地場産品基準」の運用が細かくなります。
たとえば、区域の外で作られた製品に市町村名やロゴを入れただけの品は、広報目的の返礼品として認められにくくなります。また、区域内で「価値の過半が生じた」と主張する製品は、価格に基づいて算出することを原則とし、製造者がそれを証明し、自治体が一覧で公表します。
変わること3 返礼品の調達価格が妥当か
総務省の資料には、海外から6万円で輸入したワインを保管し、一般には8万円で売りながら、返礼品としては12万円で納めていた、という例が挙げられています。
こうした事例を受けて、証明書には一般販売価格もあわせて記載し、その内容を公表することになりました。
高額の返礼品を選ぶ側から見ると、「この寄附額は、一般の値段と比べてどうなのか」を確かめられる材料が増えると考えられます。
2027年寄附分から 特例控除の上限193万円
もう一つ、寄附する側に関わる見直しがあります。住民税の「特例控除額」に、193万円という定額の上限が設けられます。2026年3月31日に成立した地方税法等の改正法に盛り込まれたもので、2027年(令和9年)の寄附分から適用されます。
ここは正確に押さえておきたいところです。
- 193万円は、総務省の資料で「給与収入1億円相当」とされる水準です(独身または夫婦共働き、給与収入のみ、住宅ローン控除などを受けていない場合のモデルケース)
- このモデルケースでは、給与収入1億円の人が438万円を寄附したときの特例控除額が193万円です
- 寄附額そのものに上限はありません。上限を超えた場合でも、所得税の控除と住民税の基本分の控除は、これまでどおり適用されます
つまり、影響を受けるのは給与収入がおおむね1億円を超えるような、ごく一部の超高所得者に限られます。上限額が大きい読者の多くは、この上限にかからないはずです。ただ、ご自身がどこに当たるかは収入の内訳や控除の状況で変わるので、税理士等に確認してください。
業界目線の小ネタ 手数料は寄附額の13%
総務省が2026年7月に公表した調査結果によると、2025年度(令和7年度)の寄附受入額は1兆3,314億円で、過去最高を更新しました。
募集にかかる費用の内訳が示されているのは、その前年度の数字です。令和6年度は寄附受入額約1兆2,728億円のうち、募集費用の割合が46.4%。ポータルサイトの事業者に支払った手数料などは1,656億円で、寄附受入額の13%にあたります。
今回の見直しの背景には、この「外に出ていくお金」を減らしたいという考えがあります。資料には、自治体がポータルサイトなど外部の事業者に払う手数料を見直す必要がある、とも書かれています。
気になる点 寄附額や掲載の見直し
自治体は、使えるお金の割合を段階的に上げていく必要があります。そのため、手数料や送料、事務の進め方を見直す自治体も出てくると考えられます。その結果、同じ返礼品でも寄附額や掲載のしかたが変わることはあり得ます。
気になっている返礼品があれば、寄附の直前に、寄附額と返礼品ページの「お知らせ」欄をもう一度確かめておくと安心です。
出典
- 総務省 自治税務局市町村税課「ふるさと納税の指定基準の改正等について」(令和7年6月24日)https://www.soumu.go.jp/main_content/001016582.pdf
- 総務省 自治税務局市町村税課「ふるさと納税について(指定基準に係る告示改正)」(令和8年3月24日)https://www.soumu.go.jp/main_content/001070694.pdf
- 総務省 報道資料「ふるさと納税の指定基準の見直し等」https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000144.html
- 総務省告示第179号(令和8年3月31日最終改正)https://www.soumu.go.jp/main_content/001065165.pdf
- 総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」(2026年7月31日公表)の数値は、大和総研「ふるさと納税の現況」(2026年8月26日)https://www.dir.co.jp/report/research/policy-analysis/regionalecnmy/20260826_026009.pdf で確認
- 地方税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第2号、2026年3月31日成立・公布)国立国会図書館 日本法令索引 https://hourei.ndl.go.jp/simple/detail?lawId=0000169958¤t=-1
※上限額は年収や家族構成、ほかの控除によって変わります。正確な上限額は各ポータルのシミュレーターや税理士等に確認してください。